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離婚に関する給付

婚姻費用

婚姻費用の算出

婚姻費用の分担は、「(夫婦の)資産、収入その他一切の事情を考慮して」決めることになります。通常は、収入の多い夫(又は妻)から収入の少ない妻(又は夫)に金銭を支払うことで行われます。

ア 算定式
婚姻費用の標準算定方式では、次の手順により分担すべき婚姻費用が算定されます。
@ 権利者の総収入から基礎収入Yを、義務者の総収入から基礎収入Xを認定する
A 生活指数に基づき、権利者及び同居の子(権利者・義務者は各100、子は0歳から14歳までは55に人数分を乗じて、15歳から19歳までは90に人数分を乗じてCを算出)の生活費Zを算定する
B 義務者Yの負担すべき婚姻費用Mを算出する
C 特別に考慮すべき事情に基づく費用Aを加減する(義務者がすでに支払っている場合にはこれを控除し、別途支払うべき場合は加算)
 算式は次のとおりです。
Z = (X + Y) × (100 + C)÷(100+100+ C)
M = Z − Y ± A
イ 基礎収入の認定
@ 給与所得者
源泉徴収票の「支払金額」が総収入にあたります。この総収入から、法律等で定められている所定の率ないし統計資料(家計調査年表)に基づいて推計した標準的な割合を用い、? 公租公課(所得税・住民税・社会保険料。概ね総収入の12%-31%)、?職業費(概ね総収入の20%-19%)、?特別経費(概ね総収入の26%-16%)を控除するよう考慮した割合を乗じて基礎収入を算出します(概ね総収入の42%-34%となります)。
A 自営業者
確定申告書の「課税される所得金額」が総収入にあたります。この総収入から?公租公課(所得税・住民税。概ね総収入の25%-30%)、?特別経費(概ね総収入の33%-23%)を控除するよう考慮した割合を乗じて基礎収入を算出します(概ね総収入の52%-47%となります)。
ただし、課税政策上設定された税法上の各種の控除科目を適用した結果算出された所得金額が直ちにここでの算定基礎になるわけではありません。例えば、税法上の各種控除のうち、実際に支出していない費用(青色申告控除、専従者給与など)は加算して総収入を認定します。
したがって、自営業者については、所得金額から「社会保険料」のみを控除し、青色申告控除及び実際に支払がなされていない専従者給与を所得に加算して算出することになります。
B 賃金センサスによる認定
義務者が基礎収入の算定のための資料を提出しない場合や、提出された資料の信頼性が低い場合などには、給与所得者と見なして賃金センサスを利用して収入を推定することが考えられます。
また、同様に権利者が稼働能力及び稼働環境があるのに稼働していない場合にはパート労働者として推定される場合が考えられます。
ウ 生活指数算定の対象者
@ 子が成年に達した場合
義務者が大学進学を承認している場合の学生、心身に障害があり就労していない子などについては、成年に達していても未成熟子と同様に扱うべきです。ただし、子が就労可能な状況にある場合については、パート労働者としての賃金相当額を控除するなどの方法で修正すべきだとの考えもあります。
A 義務者が再婚した場合
義務者が再婚し、再婚相手との聞に子が生まれた場合、義務者はその子及び再婚相手に対しても扶養義務を負います。この場合、再婚相手が無職・無収入の場合は、再婚者及び子が義務者と同居したと仮定し、再婚者の生活指数を生活保護基準から算出して計算します。再婚者に相当な収入がある場合には、再婚者を考慮せず、義務者と双方の子どもが同居したものと仮定して計算します。
B 子の同居状態(監護状態)に変動がある場合
子が権利者と義務者の聞を行き来している場合、時期的な区分ができない場合は、監護実態に関する資料を収集した上で、時期が区別できればこれにより分担割合を算出し、できる限り実態に即した分担額を定める処理を行うとされます。
C 認知した子
義務者が妻以外の女性との間の子を認知した場合、義務者は認知した子に対しても扶養義務を負います。そこで、認知した子については、母親の収入の割合で按分すべきであるから、標準算定方式で用いる子の生活指数(55)を、父親の基礎収入Xに母親の基礎収入Wを加算して修正した数値に修正して、分担額を算出する(13)。修正する場合の算式は次のとおりです。
認知した子の生活指数 = 55 × X (権利者の基礎収入) ÷ (X+W)
エ 特別な事情による婚姻費用の加減
標準算定方式は、あくまで標準的な婚姻費用を簡易迅速に算出することを目的とするものです。したがって、最終的な分担額は各事案の個別的要素をも考慮して定まるものであるともされています。標準的算定方式及び算定表に基づき算出された婚姻費用については、この算定表によることが著しく不公平となるような特別な事情がある場合にのみ、個別的事情を考慮すべきです。
@ 義務者の資産・負債
原則として考慮しません。しかし、義務者が婚姻生活を維持するためにやむを得ず借りたものについては、権利者にもその返済額の何割かを負担させるべきだと考えられます。
A 住居費用
標準算定方式では、権利者世帯と義務者世帯が別々に生活費を負担していることが前提となっていますが、実際に家賃などを支払っているかは考慮しません。ただし、住宅ローンについては、資産形成という性格もあり、これを控除すると生活保持義務より資産形成を優先させてしまうことになるから、一般的に要する住居費相当額の限度でこれを控除すべきだとされています。
B 私立学校の学費等
標準算定方式においては、公立学校の教育費のみを指数として考慮しているため、私立学校の授業料の扱いが問題となります。
教育費は、特別費用ではなく子の生活費として算定されているところ、義務者の収入が、公立学校の子がいる世帯の平均収入を上回っている場合には、公立学校の教育費以上の額が考慮されているようです。
C 義務者が有責配偶者
近時では、有責配偶者であるという点を何らかの形で婚姻費用分担額に反映させている裁判例が多いようです。
D 権利者が有責配偶者
有責配偶者といえどもまったく婚姻費用分担の請求を認めないというわけではなく、少なくとも自己の最低生活を維持する程度の婚姻費用の分担は請求することができると解する裁判例が多いようです。婚姻費用中にこの監護費が含まれている場合、配偶者の生活費部分は否定されても、も子に対する生活保持義務はなくならないとした判例もあります。

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