歯科医師の夫から財産分与として自宅、金銭の交付等を得られた事例
- #住宅・不動産
- #女性
- #離婚を求められた
- #預貯金
- #解決事例
- #保険
依頼者・相談者
女性 50代
背景・相談内容
しかし、夫の離婚の意思は固く、夫は、弁護士をつけて離婚を求めてきました。
そこで、Aさんは、離婚自体についてはやむを得ないと考えたものの、離婚するのであれば、将来のためにも自宅に住み続けられるようにしたいと考え、当事務所に相談に来られました。
弁護士の回答・アドバイス
当事務所の弁護士は、Aさんが自宅に住み続けるためには、自宅を財産分与で分与してもらうか、自宅の使用貸借契約若しくは賃貸借契約を締結する必要があること、自宅だけでなく、預貯金、株、投資信託、保険、年金保険等についても、財産分与を求めることができることをアドバイスしました。
Aさんは、弁護士に依頼して、協議離婚に向けた交渉を開始することを決意しました。
手続きの流れ
Aさんから依頼を受けた当事務所の弁護士は、夫側の弁護士に連絡をし、協議離婚に向け、財産分与の話をするため、夫名義の財産の開示を求めました。
夫は、預貯金、投資信託、保険等の財産を開示したものの、そのうち大半は夫の父親が夫名義で保有していたものであり、財産分与の対象財産とはならない旨主張してきました。
そこで、Aさんは、弁護士と相談の上、夫に対し、財産分与の対象財産とはならない旨主張する財産については、すべて財産分与の対象財産とならないことがわかる資料の開示をするよう求めました。
しかし、夫はそのようなことが明確にわかる資料は開示できない旨述べてきました。
Aさんは、夫の父親が夫名義で保有していたと考えられる一部の財産については、財産分与の対象財産から外しても良いが、そのような事実があったのか全くわからない財産については、やはり財産分与の対象財産から外すことはできないと考えました。
そこで、Aさんの意向を踏まえ、弁護士が夫側と交渉したところ、Aさんが認める一部の財産以外の財産については、その半額を分与するとの内容での合意ができることになりました。
また、Aさんは、自宅に住み続けたいとの意向であったところ、夫から自宅建物を分与してもらうことになりました。
なお、自宅土地については、自宅の隣にある歯科診療所の土地と一筆の土地になっていたため、Aさんが、同土地の自宅部分のみを、終身、月額1万円という格安の賃料で賃借するということで合意ができました。
担当弁護士のコメント
この事例では、財産分与の対象財産の範囲と、Aさんが安全に自宅に住み続けられるような法的権利をどのように確保するかの2点が問題となりました。
この点、夫婦名義の財産は、一般的に、財産分与の対象財産に含められることになるため、実質的に夫婦以外の者の財産であることを主張する側が、そのことがわかる資料等を提示する必要があります。
本件においては、夫側の主張を根拠づける資料が全くなく、このような主張は、調停等に発展した場合には認められない可能性が高いことから、Aさんの主張に基づいた財産分与に至ったと考えられます。
また、自宅についても、土地自体を譲渡してもらうためには、土地の分筆が必要であった上、土地の価値が高額であったことから、むしろ格安な賃料での賃貸借契約を締結する方が良いとの結論に至りました。
その結果、Aさんは自宅に終身住み続けられる権利と共に、相当額の金銭の分与を受けることができました。