父親からの子の監護者指定、子の引き渡しの請求が認められた事例
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依頼者・相談者
男性 20代
背景・相談内容
子の養育は、夫Aと妻Bが協力して行っていましたが、妻Bはある日を境に外泊の頻度が増えていきました。
そのような期間が一か月程続いたところで、妻Bは子Cを連れて、離婚を前提に別居を開始しました。
夫Aは、子Cを連れ戻したいと思っています。
弁護士の回答・アドバイス
本件では、夫Aと妻Bとの間で、子Cの養育監護について、話が行われないまま妻Bが子Cを連れ去ってしまいました。
夫婦が別居している間、子を養育監護する者を「監護者」といいます。
夫婦の話し合いの結果、監護者を決めることができれば良いですが、決まらない場合は、家庭裁判所に監護者を決めてもらわなければなりません。
そのためには、監護者指定の審判(または調停)申立手続を行う必要があります。
また、本件のように、他方当事者が子を連れ去ってしまった場合、子を現実的に連れ戻す必要があるので、子の引渡し審判(または調停)申立手続も行わなければなりません。
さらに、これらの各審判は、結果が出るまで時間が掛かってしまうので、「保全処分の申立(監護者仮指定、子の仮引渡し)」も同時に行うことが望ましいです。
手続きの流れ
監護者指定の審判申立においては、父親か母親のどちらが監護者にふさわしいか、次のような判断基準を用いて家庭裁判所が決定します。
・監護意欲
・従前の主たる監護はどちらだったのか
・監護環境が整っているか
・面会交流に許容的であるか
・監護補助者がいるか
・子の年齢、性別、健康状態・・・等
そして、必要に応じて家庭裁判所調査官がこれらの事項を調査します。
本件では、当事者に対する質問、家庭訪問、親子交流場面観察、保育園に対する聴取等が行われました。
家庭裁判所調査官の調査の結果、従前の主たる監護者は夫Aであったこと、夫Aの父という監護補助者の協力を受けることができること、保育所によると同居時よりも妻Bが引き取ってからの方が子Cの身だしなみや食生活に問題が増えたこと等の事情が確認されました。
その結果、家庭裁判所調査官が作成した調査報告書において、監護者は夫Aと指定することが相当であり、妻Bから夫Aに対して子の引渡しもなされるべきであるとの意見が出されました。
最終的な結論を下すのは裁判官ですが、家庭裁判所調査官の調査報告書は、裁判官の判断に大きな影響を与えるため、非常に重要です。
本件では、このような調査報告書を踏まえ、夫Aと妻Bとの間で、夫Aを監護者として、妻Bから夫Aに対し、子Cの引渡しを行う旨の調停がまとまりました。
担当弁護士のコメント
本件では、子Cが連れ去れてから、速やかに各種申立を行いました。
申立が遅くなると、その間、子は相手方のもとで生活を行うことになるので、母親の監護実績が構築されてしまい、子を連れ戻すことが難しくなる場合があります。
また、幼い子の場合は、母親が有利であるという話もありますが、必ずしもそうではなく、従前の監護養育状況や、現在の監護体勢が重視されますので、本件のように、父親であっても監護者となることが可能な場合もあります。
上記のとおり、家庭裁判所調査官の調査は非常に重要です。
弊所では、家庭裁判所調査官の調査に対し、どのように挑めばよいか適切なアドバイスをさせていただきます。