解決事例 ~離婚請求を退けたケース~
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背景・相談内容
依頼者X(女性)は、夫である相手方Yから離婚の請求を受けましたが、離婚に応じる意向はありませんでした。そのためYから離婚調停の申立てと離婚訴訟を提起された事案です。
手続きの流れ
YはXに対して、離婚調停の申立てを行いました。
同調停手続では、双方の意見が合致せず不成立となりました。
その後、YはXに対して、離婚訴訟を申し立てました。
Yが主張する離婚理由は概ね以下の通りでした。
①長期間の別居(約5年半)
②心理的・経済的虐待
③浪費
これに対して、Xはいずれの事実も否認していました。
裁判所は、次のように認定し、Yの請求を棄却しました(離婚を認めませんでした。)。
①長期間の別居について
最初の3年間は、Yも自宅を出入りしていたので完全な別居と評価することはできない。完全な別居期間は約2年半に過ぎないため、長期間の別居状態にあったとまでは認められない。
② 心理的・経済的虐待について
これを認めるに足りる証拠はない。
③ 浪費について
これを認めるに足りる証拠はない。
担当弁護士のコメント
当事者の一方が離婚する意思がないにも関わらず、離婚しようとする場合、離婚の訴えを提起し請求の認容判決を得る必要があります。
離婚が認められる要件は、民法770条1項に記載されています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
そして、第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」の一つ態様として、長期間の別居があげられます。
過去の裁判例では、3~5年の別居期間があれば長期間の別居と認定するケースが多いです。
本件においては、完全な別居の起算日が争いになりました。
Yの反対尋問において、陳述書と矛盾する発言や不合理な発言が出てきたため、別居に関するYの主張を退け、Xが主張する時期が別居の起算日になったのが、請求棄却判決に繋がったものと思います。