財産分与で、他方配偶者が財産を隠匿している場合はどのように対応すればよいですか?
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依頼者・相談者
男性 40代
背景・相談内容
しかし、私と妻は、お互い収入を別々に管理していたため、妻にどの程度財産があるのかが全くわかりません。
妻の性格上、婚姻期間中に貯めた妻名義の財産を正確に教えてくれるとも思いません。
このような場合、財産分与の話し合いはどのように進めていけばよいのでしょうか。
また、財産分与後に、財産分与時に判明していなかった財産の存在が発覚した場合、財産分与をやり直すことはできるのでしょうか。
弁護士の回答・アドバイス
協議の段階では、妻に任意の財産開示を促すことになりますが、妻が財産を開示しない場合は、財産分与の話を進めるのは困難となります。
なお、弁護士に離婚の交渉を依頼している場合は、弁護士照会制度(弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度)を利用し、妻の財産を調査することも考えられますが、照会先が、名義人本人への同意や確認を行うことがあり、この場合、妻の同意を得られるとは考えにくいため、やはり、証拠資料の収集は困難であるといえるでしょう。
そのため、妻の財産がわからないとの前提で分与方法を定めるか、離婚調停の申立てを行い、調停の席で財産分与の話を行うことになります。
離婚調停や離婚裁判では、妻の財産について、預貯金、保険の解約返戻金、その他金融資産の保管場所がある程度把握できているのであれば、調査嘱託(裁判所で行える調査の手続き)の申立てを行うことなども検討します。
なお、財産分与後に、財産分与時に判明していなかった財産の存在が発覚した場合は、そもそもの財産分与合意の錯誤無効を主張する等が考えられますが、財産分与請求権は、離婚後2年以内に請求しなければ権利が消滅するため、注意が必要です。
また、妻が夫婦の財産を故意に隠匿していたような場合は、不法行為や不当利得を理由に請求することが考えられます。