夫名義のオーバーローンの不動産を妻が取得した事例 - 小西法律事務所(離婚の法律相談)離婚について弁護士への無料相談は、小西法律事務所(大阪市北区)まで

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夫名義のオーバーローンの不動産を妻が取得した事例

  • #住宅・不動産
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依頼者・相談者

女性 30代

背景・相談内容

Aさんには、夫との間に子どもがいましたが、夫が、会社で不祥事を起こしてしまい、離婚を考えるようになりました。
夫側も、離婚はやむを得ないものと考えており、子どもの親権もAさんに譲るとの意向を示しています。

夫婦の財産としては、夫名義の自宅不動産がありますが、不動産の時価を越える住宅ローンがあります。
夫は既に自宅不動産を出ており、Aさんは、子どもと2人、自宅不動産で暮らしています。
Aさんは、今後も自宅不動産に子どもと住み続けたいと考えていますが、財産分与の方法で夫と折り合いがつかず、当事務所に相談に来られました。

弁護士の回答・アドバイス

Aさん夫妻は、プラスの財産とマイナスの財産を比べた際に、マイナスの方が大きくなってしまうため、Aさんが夫側に財産分与を請求したとしても、財産を分与してもらうことは難しいという事情がありました。
ただし、住宅ローンをAさんが支払うことが可能であれば、夫の意向次第で、自宅不動産を取得できる可能性があることを説明しました。

手続きの流れ

Aさんは、当事務所の弁護士に協議離婚を依頼し、弁護士と夫は、財産分与の方法を中心に協議を行いました。
夫側も、協議をする中で、自宅不動産を妻に譲渡してもよいとの意向を示すようになりましたが、問題は、住宅ローンの支払いをどのように行うかということでした。
というのも、妻は、仕事を始めてから数か月しか経過しておらず、妻の収入では、住宅ローンの組み換えができなかったのです。

住宅ローンの契約者を変更しないまま、妻が夫名義の自宅に居住を続けた場合、夫が住宅ローンを支払わなくなるリスクがあります。
なお、仮に、妻が夫名義の住宅ローンの支払口座を管理していたとしても、夫の自由な意思により、口座を凍結することができるため、やはり、住宅ローンの返済が滞るなどのリスクが生じてしまいます。
また、不動産の名義を夫から妻に移転した場合、金融機関との間でトラブルが生じ、場合によっては、夫が金融機関からローンの返済を一括で迫られ、自宅不動産の抵当権を実行されてしまうリスクも存在します。

これらのリスクを前提としたうえで、Aさんは、夫の口座をAさん自身が管理したうえで自宅不動産に居住し続け、ローン完済後に名義を変更してもらうことを希望しました。
Aさんの希望を受けて、弁護士が夫に交渉したところ、夫は、Aさんの希望を受け入れ、さらに、住宅ローンの一部を負担することを約束してくれました。
その結果、Aさんは、離婚後も子どもと一緒に自宅不動産で暮らすことができました。
夫は、毎月約束した住宅ローンの一部を、しっかりとAさんに支払ってくれています。

担当弁護士のコメント

Aさんと夫が憎しみ合っているなどの事情があれば、このような解決方法はお勧めしませんが、離婚するとはいえ、夫婦の間に一定の信頼関係があったからこそ、Aさんが夫名義の自宅不動産に居住し続けるという形で解決ができたのだと思います。