夫と離婚を考えていますが、単身赴任の場合、財産分与の基準時はいつになりますか?また、自宅不動産を取得したい場合、財産をどのように分けるとよいですか? - 小西法律事務所(離婚の法律相談)離婚について弁護士への無料相談は、小西法律事務所(大阪市北区)まで

事例cases

夫と離婚を考えていますが、単身赴任の場合、財産分与の基準時はいつになりますか?また、自宅不動産を取得したい場合、財産をどのように分けるとよいですか?

  • #住宅・不動産
  • #相談事例
  • #女性
  • #不倫・浮気
  • #預貯金
  • #離婚慰謝料

依頼者・相談者

女性 40代

背景・相談内容

私は、20年前に夫と結婚しました。夫は、3年前から単身赴任をしていたのですが、単身赴任先で、不倫をしていたようです。

夫は、以前も不倫をしたことがあり、そのときは子どもが小さかったため、離婚にはいたりませんでしたが、今回は、子どもも大きくなっているため、不倫を繰り返す夫と離婚したいと考えております。

夫も、「もう別れよう」と、離婚に応じる姿勢をみせているため、今後、財産分与や慰謝料などの条件の話し合いに入りたいと思っています。

財産分与の基準時は別居開始時点と聞きましたが、夫は3年前から単身赴任をしているため、どの時点の財産を分けることになるのでしょうか。

なお、現時点では、夫婦の財産として、夫名義の預金が200万円、私名義の預金が100万円あるほか、夫名義の自宅不動産があります。

自宅不動産は、現在の時価は約1000万円ですが、約2000万円で住宅ローンを組んで購入しました。

住宅ローンの2000万円のうち1000万円は、私の特有財産から支払いをしております。

自宅不動産は、私が取得したいと考えておりますが、財産はどのように分けるとよいのでしょうか。

弁護士の回答・アドバイス

財産分与を行うにあたっては、どの時点の財産が財産分与の対象となる財産となるのかを確定するために、基準時を定める必要があります。

この点、財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して形成した財産を分けることになるため、基準時は、夫婦の財産形成についての協力関係が終了した時点であると考えられています。

そのため、基準時は、実務では、夫婦の財産形成についての協力関係が終了した別居時点であると考えられています。

しかしながら、夫婦が別々に暮らしていたとしても、夫婦の財産形成についての協力関係が継続している場合は、基準時を別居開始時点とすることは妥当ではありません。

今回のように、単身赴任の場合ですと、単身赴任期間中も夫婦の財産形成についての協力関係は継続していると考えられますので、財産分与の基準時を、夫婦の一方が離婚を切り出した時点や、夫婦双方が離婚に合意した時点とするなどの工夫が必要となります。

ご相談の事例の場合は、双方離婚に合意しているとのことですので、離婚の合意時点を財産分与の基準時にするとよいと考えます。

また、財産の分け方ですが、自宅不動産は、住宅ローンの半額をあなたの特有財産から支払ったとのことですので、自宅不動産の時価である1000万円のうち500万円は、あなたが財産形成に貢献したとして、財産分与において考慮すべきです。

すなわち、夫婦共有財産の合計1300万円(不動産1000万円、夫名義の預金200万円、妻名義の預金100万円)のうち、あなたの不動産に対する貢献部分である500万円と、残りの財産800万円の2分の1である400万円を合計した900万円が、あなたの取り分となります。

ここで、自宅不動産はあなたが取得したいとのことですが、時価1000万円の自宅不動産を取得する場合、あなた名義の100万円の預金を夫に分与したうえで、さらに100万円を代償金として支払う必要があります。

しかしながら、離婚原因は夫の不貞行為とのことですので、離婚慰謝料(ここでは200万円と仮定します。)を考慮し、あなたが夫から自宅不動産の分与を受けることのみにより、財産分与、慰謝料を清算することが相当だと考えます。