シェルターの利用
配偶者暴力相談支援センター、婦人相談所等における一時保護
配偶者暴力相談支援センターは施設というよりは社会的機能であり、その一時保護のための主たる施設としては婦人相談所があります。「婦人相談所」、「女性相談センター」、「女性相談所」など実際の名称は、都道府県によって異なります。婦人相談所は夫、パートナーからの暴力被害者を含め、家庭環境の破壊、生活の困窮など、正常な社会生活を営む上で困難な問題を有しており、かつその問題を解決すべき機関が他にないために、現に保護、援助を必要としている状態にあると認められる者について広く相談に応じ、当該女性の問題の内容に即して保護・援助を行っています。
婦人相談所の一時保護は被害者の意思に基づき次の場合に行われます。
① 適当な寄宿先がなく、当該者に被害が及ぶことを防ぐため緊急に保護することが必要であると認められる場合
② 一時保護所での短期間の生活指導自立に向けた援助が有効であると認められる場合
③ 心身の健康回復が必要であると認められる場合
保護期間は、婦人保護施設や母子生活支援施設への入所等ができるまでの必要最小限の期間とされていますが、入所者の状況により柔軟に対応するよう配慮すべきとされています。また、加害者の追跡が厳しく安全を確保することが困難な場合は、被害者本人の希望に基づいて都道府県境を越えて一時保護を行っています。
緊急一時保護施設( シェルター)
配偶者暴力相談支援センターが行う一時保護のための施設(シェルター)は、婦人相談所に設置されています。また、婦人相談所から委託された民間の団体の施設を利用する場合もあります。
婦人相談所のシェルターは、原則として、福祉事務所を通して利用します。前もって福祉事務所に相談しておくと、遠隔地に逃げたいなどの事情にも対応してもらえます。
もっとも、事前の準備の余裕がなく、配偶者からの暴力が差し迫っているときは、警察が、婦人相談所のシェルターに連絡してくれるため、警察に助けを求めましょう。夜間に暴力を受け、警察に助けを求めた場合は、婦人相談所まで警察官が送り届けてくれます。
避難時の留意事項
避難のため仕事を休んだり辞めたりした場合や、専業主婦であった場合には、収入が途絶えることになってしまいます。また、一時保護中は無料でシェルターを利用できますが、利用期間は2週間程度です。
夫の暴力から逃れ安全に生活していけるように、シェルターを出た後も、配偶者暴力相談支援センターや関係機関による様々な援助を受けることはできるのですが、これらの援助や制度を利用しながらも、できるかぎり自力で生活できることが望ましいのはいうまでもありません。
そこで、可能であれば、家を出るときに、以下のものを持っていくようにしましょう。
- 現金
- 本人や子ども名義の預金通帳、印鑑
- 健康保険証かそのコピー
- 運転免許証など身分証明
- 携帯電話