調停離婚
調停離婚とは
夫婦間で離婚について協議が調わなかった場合や協議自体ができない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てることになります(「夫婦関係調整調停事件」)。
離婚訴訟を起こす前に、まず調停を申し立てる必要があります。
離婚の申立てにあわせて、未成年の子の親権者指定、財産分与、養育費、慰謝料請求等を同時に申し立てることができます。
調停の担当者
調停は、調停委員会(基本的に、男女1人ずつの調停委員と審判官)が間に立って、当事者の話し合いによる解決を目指します。
調停委員とは、民間人から任命された、非常勤の裁判所職員です。審判官とは、家庭裁判所の審判及び調停に関与する裁判官のことです。
また、家事事件は、夫婦、親子等の身分関係に基づく争いであり、家庭裁判所が後見的な立場からかかわる必要があります。そこで、家庭裁判所には、心理学、教育学、社会学、社会福祉学等の専門知識を有する家庭裁判所調査官が配置されています。家庭裁判所調査官は、調停期日に出席して、調停事件の解決のために、当事者の調整的な役割を果たすなどの役割を担っています。また、家庭裁判所調査官は、子の親権が争われている場合などに、当事者の子の監護状況等がどのようになっているのかについて、客観的な状況を調べて、これを把握して、調査結果に基づいて、当事者間の合意の形成を図ることもあります
調停の管轄
離婚調停事件の管轄は、①相手方の住所地の家庭裁判所、又は②当事者が合意で定める家庭裁判所です。家庭裁判所は、その管轄に属しない家事調停事件の申立てを受けた場合、事件を、管轄を有する家庭裁判所に移送しなければなりません。ただし、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、他の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができます。
調停の申立て
調停の申立ては、 書面又は口頭ですることができます。
調停の申立ては、民事訴訟費用等に関する法律で定める相当手数料をちょう付して納付しなければなりません。同法によれば、調停1件につき1200円の手数料を納付することになっています。
期日の呼び出し
調停機関が調停を行うためには、調停期日を指定して、当事者、その他の関係人を呼び出すことが必要です。
期日は、通常午前中は10時、午後は1時30分と指定されることが多いです。
期日に行われること
調停は、家事審判官が指揮をして行われます。調停の申立てがなされると、事件の配てんを受けた家事審判官は、書記官、家庭裁判所調査官とともに事案の内容を検討して、担当の家事調停委員2名を選任し、第1回の調停期日を指定します。
家事審判官、家事調停委員は、事前に申立書及び添付の資料等を読み、事案を検討し、1回調停期日において、事件の進行等について意見交換をします(これを評議といいます)。評議は、調停期日が始まった後も必要に応じて行われます。
調停機関は、事実を認定するために必要な資料を収集するために事実の調査を行うことができます。また、調停手続において、調停成立のために必要であるときは、証拠調べをしなければなりません。
調停の成立
調停において、当事者間に合意が成立し、調停機関がその合意を調停調書に記載したときは、調停が成立します。そして、調停調書の記載は、訴訟事項については確定判決と同一の効力を有し、また、審判事項については、確定した審判と同一の効力を有します。
調停の不成立
調停委員会から解決方法を強制されることはありません。調停での話し合いがまとまらなければ、調停は不成立となります。調停機関は、当事者間に合意の成立する見込みがない場合、または成立した合意が相当でないと認める場合において、家庭裁判所が調停に代わる審判をしないときには、調停は成立しないものとして、事件を終了することができます。また、調停を取り下げることもできます。
調停が成立しない場合であっても、離婚の合意ができており、財産分与や子の監護に関して僅かな意見の違いしかない場合や、婚姻関係の破たんは明らかであるが一方が頑なに調停に出席しない場合などでは、家庭裁判所が離婚などについて審判をすることがあります(「調停に代わる審判」)。ただし、この審判は、審判の告知を受けた日から2週間以内に、当事者が異議を申し立てれば効力がなくなります。