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離婚手続に関する管轄裁判所

  • コラム

 離婚の際に、協議によって離婚することが困難である場合には、離婚調停の申立や、離婚訴訟の提起をすることになりますが、夫婦が別居している場合が多いでしょう。
 別居後も夫婦が同じ市町村等に居住している場合には、離婚調停や離婚訴訟の手続をとる際に、管轄裁判所は問題になりませんが、夫婦が遠隔地に居住している場合、離婚調停や離婚訴訟の手続をどこの裁判所でとることができるかが問題になります。

離婚調停の管轄裁判所

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所

 離婚調停を申し立てる場合、相手方となる配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄裁判所となります。
 例えば、夫婦で生活していた場所が大阪市内であり、夫が大阪市内で居住し続けていたとしても、妻が札幌市内の実家に帰ってしまった場合には、夫が妻に対して離婚調停の申立てを行う際の管轄裁判所は札幌家庭裁判所になります。

当事者が合意で定める家庭裁判所

 夫婦双方の合意があれば、相手方となる配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所以外の家庭裁判所を、管轄裁判所にすることができます。
 先ほどの大阪市在住と札幌市在住の夫婦の例でいうと、夫婦の合意があれば、大阪家庭裁判所で離婚調停の手続をとることもできますし、東京家庭裁判所で離婚調停の手続をとることも可能です。
 なお、この合意は、書面で行わなければなりません。書面に変えて電子メール等の電磁的記録で行うことも可能です。
 また、この合意は、離婚調停の申立てと同時になされなければならないと考えられています。

管轄裁判所以外の家庭裁判所に離婚調停の申立てを行った場合

 家庭裁判所は、その管轄に属しない離婚調停の申立てを受けた場合、事件を、管轄を有する家庭裁判所に移送します。
 ただし、事件を処理するために特に必要があると認めるときは、管轄を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができます。

離婚訴訟の管轄裁判所

被告の住所地を管轄する家庭裁判所

 離婚訴訟を提起する場合、被告となる配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所は管轄裁判所となります。

原告の住所地を管轄する家庭裁判所

 離婚調停と異なり、離婚訴訟では、離婚を求める側(原告)の住所地を管轄する家庭裁判所も管轄裁判所として認められています。

離婚調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理

 家庭裁判所が離婚訴訟の管轄を有しない場合であっても、離婚調停事件がその家庭裁判所に係属していたときには、調停の経過、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該離婚訴訟を自ら審理及び裁判することができます(自庁処理といいます。)。
 例えば、京都市内に居住する妻が大阪市内に居住する夫に対して離婚調停を申し立てた場合、その管轄裁判所は大阪家庭裁判所になりますが、離婚調停中に夫が神戸市内に引っ越したとき、特に必要があると認めるときは、大阪家庭裁判所は、自庁処理を行うことができるのです。
 なお、夫婦に未成年の子がいる場合に自庁処理をするには、その子の住所又は居所を考慮しなければなりません。

合意による管轄は認められていない

 離婚調停では、夫婦双方の合意があれば、土地管轄を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所を管轄裁判所にすることができましたが、離婚訴訟では、たとえ当事者間に合意があったとしても、土地管轄を有する家庭裁判所以外の家庭裁判所を管轄裁判所にすることはできません。

管轄裁判所以外の家庭裁判所に離婚訴訟の提起を行った場合

 家庭裁判所は、受理した離婚訴訟がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、管轄裁判所に移送します。