株式の財産分与 〜非公開株式の評価方法(配当還元方式)〜
- 株式
非上場株式の財産分与
株式には、東証等の金融商品取引所に上場されている上場株式と、上場されていない非上場株式があります。
夫婦が離婚する際、どちらか一方(もしくは双方)が、株式を保有している場合には、その株式も財産分与の対象となり得ます。
しかし、金融商品取引所に上場されていない非上場株式の場合、市場の取引価格が存在しないため、その株式をどのように評価するのかが問題となります。
非上場株式の評価方法
非上場株式を評価するにあたっては、「純資産方式」や「類似業種比準方式」、「DCF法」等の評価方法がありますが、そのうちのひとつとして「配当還元方式」という評価方法があります。
なお、純資産方式についての詳しい説明はこちらを、類似業種比準方式についての詳しい説明はこちらをご参照ください。
配当還元方式
配当還元方式とは、その株式を保有することによって1年間で受け取ることができる配当金額を、10%の利率で還元して、株式の価額を評価する方式です。
具体的な計算式は、次のとおりです。
$$\frac{評価会社の1株当たりの年配当金額}{10%}\times\frac{評価会社の1株当たりの資本金等の額}{50円}=1株の価格$$
なお、「評価会社の1株当たりの年配当金額」は、直前期末以前2年間の配当金額の平均金額になります。
また、「評価会社の1株当たりの年配当金額」を算出する際には、1株当たりの資本金の額を50円とした場合の発行済株式数をもとに計算する必要があるため、注意が必要です。
さらに、年配当金額の下限は2円50銭とされているため、実際の配当金額が2円50銭以下(無配の場合を含む)の場合には、「評価会社の1株当たりの年配当金額」は2円50銭として計算します。
財産分与にあたっての非上場株式の評価方法
上述のとおり、非上場株式の株式の評価方法には、配当還元方式の他、純資産方式や類似業種比準方式、DCF法があります。
配当還元方式は、その株式を保有することによって受け取る一年間の配当金額を基準として、株式の価額を評価する方法です。
そのため、同族株主以外の株主が保有する株式等、零細株主の株式を評価する際に、配当還元方式によって評価することが妥当であると考えられています。
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