配偶者の両親の介護を理由とする離婚が認められるか
- 離婚原因
配偶者の両親を介護しているが配偶者は介護に非協力的であったり、そもそも配偶者の両親と折り合いが悪いため介護が苦痛であったりと、配偶者の両親の介護が辛いと思われる方もいらっしゃるでしょう。
それでは、配偶者の両親の介護を理由として、離婚は認められるのでしょうか。
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配偶者の両親の介護は法的な義務があるか
そもそも、配偶者の両親を介護することについて、法的な義務があるのでしょうか。
配偶者の両親を介護されている方は多くいらっしゃると思いますが、配偶者の両親の介護をする義務を定めた法律というものはありません。
親族間の扶養義務について
民法では扶養の義務について下のように規定しています。
1.直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。
民法877条
2.家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間において扶養の義務を負わせることができる。
ご自身の両親に関しては第1項で扶養の義務を規定していますので、介護の義務があると考えられます。
他方で、第2項では、三親等内の親族に関しては、特別の事情がある場合に扶養の義務を負わせることが「できる」としています。
配偶者の両親は三親等内の親族に含まれますが、民法第877条第2項の扶養の義務は、当然に発生するものではなく、家庭裁判所が特別の事情があると認めた場合など、例外的な場合に認められる義務であるといえます。
しかし、民法第725条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」とされていますので、配偶者が配偶者の両親の介護をしている場合は、夫婦としてこれに協力しなければならないと考えられます。
配偶者の両親の介護を理由に離婚する方法
配偶者の両親の介護を理由として離婚できるかですが、前提として、離婚の方法としては、以下の3つの方法が考えられます。
離婚に合意できる場合
協議離婚、調停離婚の場合、夫婦双方が離婚に合意すれば離婚することが可能です。
夫婦間の話し合いで離婚や離婚条件について合意できる場合は、協議離婚となりますが、夫婦間での話し合いでこれらについて折り合いがつかない場合は、離婚調停を申立てます。
家庭裁判所を利用する・しないの違いはありますが、離婚する理由については問われませんので、相手方配偶者の納得が得らえた場合は、配偶者の両親の介護を理由として離婚することができます。
離婚に合意できない場合
夫婦の一方が離婚に応じない場合、離婚するためには離婚訴訟を提起しなければなりません。
裁判離婚の場合、離婚請求をするためには民法第770条第1項で定められた以下の離婚事由が必要となります。
配偶者の両親の介護は法律上の離婚事由として認められていませんので、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたるかどうかを検討することになるでしょう。
まとめ
高齢化社会に伴い、介護の問題は今後ますます増えていくでしょう。
夫婦仲は悪くないが配偶者の両親の介護がネックになって離婚を考えておられる方、離婚を決意し、配偶者も離婚に合意しているが条件面で折り合いがつかない方、そもそも配偶者が離婚に合意してくれない方など、置かれている立場は様々かと思います。
介護は家庭内の問題だと遠慮することなく、ぜひ一度弁護士にご相談ください。弁護士が法的な見地からアドバイスさせていただきます。
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