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不貞行為(浮気・不倫)の証拠について

  • 不貞行為

 夫または妻の様子がおかしく、浮気や不倫を疑って悩んでおられる方もいるかもしれません。
 浮気や不倫の定義は人によって異なりますが、離婚や慰謝料請求を考えたときに法律上問題となるのは、その行為が「不貞行為」に該当するかどうかとなります。
 一般的に使われる「浮気」や「不倫」が必ずしも「不貞行為」に該当するわけではありません。
 第10回目となる今回のコラムでは、不貞行為(浮気・不倫)を証明するために重要となる証拠について解説いたします。

証拠の重要性

 不貞行為(浮気・不倫)の事実があり、その証拠がある場合、その不貞行為(浮気・不倫)を理由として、離婚や慰謝料を請求する事が可能です。また、こちらが離婚を望まない場合は、有責配偶者からの離婚請求を拒むこともできます。
 しかし、不貞行為(浮気・不倫)の証拠がない場合は、相手方が、不貞行為(浮気・不倫)の事実を認めようとしないかもしれません。そうなると、協議で離婚や慰謝料の合意をまとめることは困難を極めます。協議でまとまらなければ、離婚や慰謝料請求の訴訟をすることになりますが、裁判の場でも不貞行為(浮気・不倫)を立証できなければ、請求が認められることは難しいでしょう。
 このように、離婚や慰謝料請求において、証拠のある、なしはその後の展開に大きく影響します。離婚や慰謝料請求をお考えの方は、まずは冷静に、不貞行為(浮気・不倫)の証拠を集めることから始められることをおすすめいたします。

証拠の例

 それでは、どのような証拠がよいのでしょうか。例えば、二人きりで密会しているLINEやメールを発見した場合、話し合いの段階ではそれで不貞行為(浮気・不倫)を認め、自白することもあるかもしれません。しかし、訴訟では、そういったLINEやメールだけでは不貞行為(浮気・不倫)があったことを証明できません。
 後に訴訟になることも視野に入れ、不貞行為(浮気・不倫)を証明できる証拠を集める必要があります。
 不貞行為(浮気・不倫)は性交渉や、それに近い類似行為のことです。そういった行為の写真や動画があれば、不貞行為(浮気・不倫)があったことを証明できますが、なかなかそういった直接的な証拠を確保できるのは稀です。

証拠価値の高いもの

 不貞行為(浮気・不倫)において証拠価値の高いものは性交渉や、それに近い類似行為があったことを強く推認させるものです。
 裁判所に不貞行為(浮気・不倫)を証明するのに、効果的な証拠は以下のようなものになります。なお、ご自身が取得した証拠が裁判において証拠としての価値を持つか迷われる場合は、弁護士に相談されることをおすすめいたします。

  • 写真・動画
     性交渉や、それに近い類似行為、裸が写った物はもちろん、ラブホテルに複数回にわたって出入りしている写真・動画(顔が確認できるもの)。その他、宿泊を伴う旅行や、不貞(浮気・不倫)相手の自宅に宿泊している写真・動画も有効です。
  • LINE・メール・SNSのダイレクトメッセージ
     やり取りの内容が、性交渉やそれに近い類似行為があったことを強く推認させるものであれば証拠となりえます。親密な関係であることがわかる程度の内容では、残念ながら不貞行為の証拠として認められにくいでしょう。
  • 録音データ
     配偶者や不貞(浮気・不倫)相手との会話や電話で、不貞行為(浮気・不倫)を認める発言を録音したデータは証拠として有効です。聞き出す内容としては、不貞行為(浮気・不倫)をしたという事実に加え、どちらが不貞行為(浮気・不倫)に積極的だったか、いつから不貞行為(浮気・不倫)を行っていたか、不貞行為(浮気・不倫)を行った回数はどの程度かという点をおさえておくと良いでしょう。
     また、録音データを裁判所に提出する際は、録音内容を文字に起こす必要があります。雑音で声が聞き取れなくなってしまう可能性があるので、騒がしすぎる場所で録音をするのは控えましょう。
  • 興信所や探偵業者の調査報告書
     興信所や探偵業者が作成する調査報告書も証拠として認められることが多いです。なお、興信所や探偵業者については後述いたします。

証拠の収集方法

 証拠を集める方法は、おおよそ自分で集めるか、興信所や探偵業者を利用するかになります。

自分で証拠を集める

 ご自身で証拠を収集される場合は、費用もかかりませんし、証拠を集めるチャンスも多いので、最もスタンダードな方法です。なるべく複数の証拠を継続的に収集しましょう。
 注意点としては、収集方法に違法性が認められると、証拠としての価値が失われてしまうことです。判例では、『著しく反社会的な手段を用い、人の精神的、肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって収集されたものであるなど、それ自体違法の評価を受ける場合は、その証拠能力も否定される』(東京地裁平成18年6月30日判決)とされています。具体的には、暴力や脅迫を用いて証拠を収集したり、配偶者の別居先や不貞(浮気・不倫)相手の住居に無断で侵入して証拠を収集するなどしたりすることです。

興信所や探偵業者を利用する

 自分で証拠を集めることが難しい場合、興信所や探偵業者に調査を依頼するのも選択肢としてあげられます。興信所や探偵業者も玉石混交ですので、信頼の置ける業者を選ぶことが必要となります。
 興信所や探偵業者を利用するメリットとしては、ラブホテルへの出入りなどかなり効果的な証拠を入手できる可能性が高いことです。
 ただし、デメリットとして、興信所や探偵業者の調査費用はかかった時間に比例して高額になってしまう可能性もありますので、依頼する際はある程度、不貞行為(浮気・不倫)が行われる可能性が高い日時や場所を把握できる様になってから利用するのが良いでしょう。

まとめ

 このように、不貞行為(浮気・不倫)を行っている配偶者に離婚を請求したり、配偶者とその不貞(浮気・不倫)相手から慰謝料を請求するには、証拠を確保する必要があります。
 しかし、証拠を確保する際には抑えておくべきポイントが多々存在します。離婚や慰謝料請求を有利にすすめるために、今の手持ちの証拠を持って、まずは弁護士にご相談されることをおすすめいたします。今の手持ちの証拠の価値や、これから取得すべき証拠について、的確なアドバイスを受けることができます。