モラハラ(モラルハラスメント)を理由とする離婚について
- モラハラ
配偶者から日常的に暴言を吐かれる、暴力はないが精神的に追い詰めてくるなど、配偶者からのモラハラに悩み、離婚を考えておられる方もいらっしゃるかもしれません。
今回のコラムでは、モラハラを理由とする離婚について、どのような準備をするべきか、また、離婚の進め方についてご説明致します。
目 次 [close]
モラハラで離婚するために準備しておくべきこと
モラハラの加害者に対して、離婚を切り出しても反対され、話し合いにすらならない場合が多く見受けられます。また、離婚を切り出したことにより、モラハラがエスカレートしてしまう可能性もあります。
そのため、離婚を切り出す前にはしっかりとした準備が必要となってきます。
モラハラの証拠集め
モラハラ加害者が話し合いに応じてくれない場合は、協議離婚を成立させることはできません。その場合、離婚調停や離婚訴訟といった裁判所を利用した手続をとることになりますが、夫婦以外の第三者である調停委員や裁判官にモラハラを認めてもらうためには証拠が必要となります。
第三者への相談
モラハラを長期間受けていると、正常な判断ができなくなってしまっている可能性があります。そうなってしまった場合は、離婚について正しい知識や判断力をもつことが難しいでしょう。
また、モラハラ加害者は外面が良いことが多いので、モラハラ加害者を知っている人に相談しても、実情を理解してもらえない場合もあります。
モラハラ被害は、DV相談ナビや配偶者暴力相談支援センター、最寄りの警察の生活安全課に相談することができます。
また、離婚を考えているのならば、モラハラの証拠を持って弁護士に相談されてみることをおすすめいたします。
別居
離婚を決意したのであれば、別居を検討すると良いでしょう。モラハラ加害者は相手を支配下に置きたがる傾向にあります。同居を続ける限り、モラハラ被害が止むことはありません。
また、離婚裁判においても、別居の事実は婚姻関係の破綻を伺わせる事実となりますので、後々有利になる可能性があります。
離婚するかどうか迷っておられる場合であっても、一旦モラハラ加害者と距離を置くために別居するという選択もあるかと思います。
モラハラを理由とする離婚の進め方
それでは実際に離婚を切り出した後の法的手続きの進め方についてご説明いたします。
協議離婚
協議離婚は夫婦での話し合いにより離婚に合意し、離婚届を市区町村役場に提出することにより離婚が成立します。離婚の理由は問われず、また離婚の条件も双方の合意があれば制限なく決めることができます。
しかし、モラハラ加害者は相手を自分の支配下に置いておきたいと考える傾向にありますので、すんなりと離婚に応じることは少ないでしょう。モラハラを理由とする離婚で協議離婚が成立することは稀です。
調停離婚
夫婦間での話し合いでは合意に達しない場合(そもそも離婚することに合意しない場合や、離婚には合意するが離婚の条件について合意できない場合など)は、家庭裁判所に離婚調停を申立てます。
離婚調停では調停委員と裁判官が夫婦双方の意見を聞いた上で問題を整理し、客観的な立場から話し合いを進行します。
離婚調停が成立すると調停調書が作成され、調停成立から10日以内に調停調書を役所に提出します。
離婚調停は調停委員を介して話し合うことが基本です。また、離婚調停中は当事者夫婦が会わないよう、家庭裁判所において配慮がなされています。しかし、家庭裁判所内や最寄り駅などで鉢合わせしてしまう可能性は否めません。家庭裁判所に事情を説明することで、出頭時間をずらす、モラハラ加害者より先に帰してもらうなどの配慮を求めることができる場合があります。
しかし離婚調停内でモラハラ加害者を説得することは非常に困難なため、調停が不成立となるケースも珍しくありません。
離婚訴訟
離婚調停でも離婚に合意できなかった場合は離婚訴訟を提起することとなり、裁判内で当事者双方が離婚に対する主張を行うことになります。
認諾離婚
認諾離婚とは、被告(離婚裁判を申し立てられた側)が原告(離婚裁判を申し立てた側)の言い分を全面的に受け入れて離婚が成立することです。認諾離婚が成立すると認諾調書が作成されます。
和解離婚
和解離婚とは、当事者双方が譲歩し和解に至った結果、離婚が成立することです。裁判の途中で裁判官から和解勧告がなされることがあります。和解離婚が成立すると和解調書が作成されます。
判決離婚
判決離婚とは、和解が成立しない場合に裁判所による審理が行われた結果、離婚が成立することです。判決がくだされると判決書が作成され、判決が送達された日からそれぞれ2週間以内に控訴されなければ判決確定証明書が作成されます。
まとめ
モラハラを理由として離婚する場合、モラハラ加害者を説得して離婚することは困難を極めます。また、離婚を切り出したことによってモラハラがひどくなるケースも存在します。
離婚をするためには話し合いが不可欠ですが、モラハラ加害者と会話をするだけでも神経をすり減らしてしまう方も多くいらっしゃるでしょう。
離婚手続を弁護士に依頼をすると、弁護士はモラハラ加害者との連絡・交渉の窓口となりますので、モラハラ加害者と直接交渉したり顔を合わせたりする必要がなくなります。また、離婚調停や裁判の手続だけでなく、慰謝料、財産分与、養育費、面会交流などの離婚にまつわる様々な条件も弁護士を通して解決することが可能です。
モラハラを理由とした離婚についてお悩みでしたら、一度弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
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