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養育費の算定方法 ~子どもに障害がある場合~

  • 養育費

子どもに障害がある場合の養育費の金額

養育費算定表

標準的な養育費の金額は、養育費算定表を利用することで、簡易・迅速に算定することができます。

なお、養育費算定表の見方については、こちらをご参照ください。

それでは、子どもに障害がある場合の養育費の金額はどのように考えられているのでしょうか。

子どもに障害がある場合

子どもに障害や持病等があることにより、特別な支出が必要となる場合には、算定表に記載された標準的な養育費の金額に、別途加算が認められることがあります。

医療関係費

医療費について、標準的な額は、標準算定方式において既に考慮されていますが、標準的な金額を超える部分は、養育費の金額に別途加算が認められることがあります。

この点、子どもに障害があった事案で、医療介護費を夫婦の基礎収入割合で按分した額を、養育費に加算して、算定表よりも1万円高くする案を調停委員会が提示して調停がまとまった事例があります(東京家調平成20年8月、ケース研究304・123)。

教育費

子どもにとって、必要性が認められる教育費や、義務者も基本的に承諾していたといえる教育費等については、標準的な養育費の金額に別途加算が認められることがあります。

婚姻費用に関する事案ですが、軽度の知的障害を有する子どもが、学習支援を受けるために通う学習塾について、その費用を婚姻費用に加算して、義務者に支払わせることができるかが、争われた事案で、
①専門家の意見等から通塾の必要性が認められ
②義務者が通塾につき承諾していたと認められる
として、婚姻費用の金額が加算されたものがあります(東京高決平成22年12月)。

子どもに障害がある場合の養育費の終期

養育費の終期

子どもが成年に達したときは、子どもを監護する親の親権が終了します。

そのため、子どもの監護に要する費用たる「養育費」の請求は、原則として、子どもが成年に達するまでの分に限られると考えらえています(大阪高決昭和57年5月14日、家月35巻10号62頁)。

子どもが未成熟子に当たる場合

子どもが成人していたとしても、子どもに障害や持病等があり、親からの扶養を要する「未成熟子」に当たる場合には、成人後も養育費を支払う義務が生じることがあります。

この点、子どもが成人しているものの、
①生来病弱で再三にわたって入院加療を続けていたこと
②現在も権利者の下で療養生活を送っていること
が考慮され、「未成熟子」であると認定された事案(東京高決昭和46年3月15日、家月23巻10号44頁)や、子どもが貧血で通常の就職稼働はできない状態であることから、「未成熟子」に当たると認定された事案(福岡家小倉支審昭和47年3月31日、家月25巻4号64頁)などがあります。