養育費の算定方法 ~子どもが大学進学・大学受験浪人をした期間についても養育費は支払われるか?~
- 養育費
養育費が支払われる期間
離婚する夫婦の間に子どもがいる場合、子どもを監護する側の親は、もう一方の親に対して、子の監護に要する費用として養育費を請求することができます。
そして、養育費の終期は、子どもが、未成熟子(自己の資産又は労力で生活できる能力のない者)でなくなったときとされており、原則として、子どもが成年に達するときと考えられています。
それでは、子どもが大学に進学したり、大学受験浪人をした期間についても養育費は支払われるのでしょうか。
子どもが大学に進学したり、大学受験浪人をした場合
養育費の終期
子どもが大学に進学したり、大学受験浪人をした場合であっても、夫婦の収入や学歴、社会的地位などから、子どもが大学に進学しても不釣り合いでなければ、大学生や浪人生も未成熟子として、養育費の支払を請求することができると考えられています。
この点、成人に達しており、普通の健康体であって、潜在的稼働能力があるというだけでは、未成熟子であることを否定できないと判断した裁判例があります(東京高決平成12年12月5日、家月53巻5号187頁)。
そこで、養育費の終期としては、高等学校を卒業する年齢である18歳や、成年に達する20歳とする例が多いものの、大学卒業予定の22歳までとする例もあります。
なお、具体的な年齢ではなく、「大学を卒業するまで」と定めた場合には、子どもが大学受験浪人をしたり、大学を留年したりしたときに、トラブルになる危険性があるため、注意が必要です。
また、子どもが大学院に進学した場合の費用などについては、合意がなければ、親にその負担義務があるということは、難しいと考えられています。
養育費の支払期間の延長
夫婦が離婚時等に定めた合意において、養育費の終期を子どもが成年に達するときと定めていたものの、子どもが大学に進学したり、大学受験浪人をした場合に、養育費の支払期間を子どもの大学卒業までに延長することを求めることができるのでしょうか。
この点については、その合意が、子どもの大学進学が明確でない時期にされたものであれば、事情変更を理由に支払期間の延長が認められる可能性があると考えられています。
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