養育費の算定方法 ~母親または父親が児童手当を受給している場合〜
- 養育費
子の養育費は、養育費を請求する権利者、義務者双方の収入によって相場を確認することができます。
では、権利者である母親(または父親)が児童手当を受給している場合は、養育費の額は、どのように決めることになるのでしょうか。
児童手当は収入として取り扱わない
養育費の請求権利者が児童手当を受給していたとしても、児童手当は収入としては取扱いません。
児童手当法1条は、「この法律は・・・子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、児童を養育している者に児童手当を支給することにより、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする。」旨規定しております。
児童手当は、児童福祉を目的とした政策の一環として、私的扶助を補うものとして支給されるものですので、これを養育費分担のための収入とすべきではありません。
このように、児童手当は、原則として権利者の収入として取り扱わないことになります。
東京家審平成27年6月17日決定
夫である相手方から、妻である申立人に対する婚姻費用分担金の支払を定めるに当たり、東京家審平成27年6月17日決定は、「申立人の収入の認定に関し、相手方は、①申立人が○○区から児童育成手当及び児童扶養手当を受給していること・・・を主張する。
しかし、前者(①)は生活保持義務に基づく婚姻費用分担金とは異なる観点からの公的支給であるから、婚姻費用分担金を算定するに当たり児童育成手当及び児童扶養手当を申立人の収入と捉えることは相当とはいえない。」と判断しました。
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