養育費の算定方法 ~父親(または母親)に特有財産からの収入がある場合~
- 養育費
子の養育費は、基本的には、養育費を請求する権利者、義務者双方の収入如何によって金額が決まってきます。
では、義務者である父親(または母親)に特有財産からの収入がある場合、養育費の額は、どのように決めることになるのでしょうか。
特有財産からの収入を父親(または母親)の収入に加算できるかが問題となります。
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特有財産とは
特有財産とは、夫婦共同生活とは無関係に形成された財産のことをいいます。
例えば、相続や贈与を受けたことで形成された財産、婚姻する前から所有している財産が特有財産にあたります。
財産分与の際に、特有財産は、その取得又は管理について他方の配偶者が関与していませんので、財産分与対象財産から除外することになります。
特有財産からの収入がある場合の収入認定
婚姻費用の分担においては、「資産、収入その他一切の事情」を考慮することとされており、養育にも同様に考えられます(民法760条)。
そのため、当事者の特有財産についても、養育費の算定の基礎として、収入に含めるべきか否かが問題となります。
特有財産からの収入が養育費算定の基礎収入に含められる場合
特有財産からの収入が高額であり、専ら特有財産から収入によって家計を維持していたような場合は、生活保持義務の観点から、基礎収入として算定する傾向にあります。
特有財産からの収入が養育費算定の基礎収入に含められない場合
同居時期に専ら義務者の給与所得によって家計が維持されており、義務者の特有財産または特有財産からの収入が家計にあてられた実績がないような場合は、基礎収入として算定しない傾向にあります。
まとめ
このように、特有財産からの収入を、父親(または母親)の収入に加算できるか否かは、同居期間中、その特有財産からの収入を、どのようにしていたかによりますので、同収入を基礎収入とする旨の主張を行う場合は、事実を丁寧に評価し、主張する必要があるでしょう。
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