保有している資産の価値変動を理由とする養育費の増額・減額について
- 養育費
養育費の権利者または義務者の保有している資産の価値が大きく変動すると、それに合わせて養育費の増額・減額請求をすることはできるのでしょうか。
本コラムでは、保有している資産の価値変動を理由とする養育費の増額・減額について解説いたします。
養育費の算定に資産は考慮されるか
養育費の算定にあたっては、それぞれの収入を考慮することになります。そのため、権利者または義務者が保有している資産の価値に変動が起きたとしても、養育費の金額を変更すべき事情の変更があったとは認められないことになります。
過去の判例
広島家裁平成11年3月17日審判
前記和解成立時に本件土地に設定されていた根抵当権が解除され、その抹消登記がなされて、本件土地の資産価値が変化したことは明らかであるが、これによって相手方の可処分所得が直ちに増加するわけではないし、前記和解において、根抵当権を解除したときには養育費を減額あるいは免除とすることを明示、黙示的に合意した形跡はない。そもそも、本件土地についての和解は、離婚に伴う財産関係の清算を目的としてなされたものであり、当時本件土地につき極度額金3000万円の根抵当権設定登記があること、将来解除により根抵当権が消滅してその抹消登記がなされることがありうることは当然に予測できたことである。したがって、申立人が主張している事由は、未成年者の養育費を減額し、あるいは養育費の支払義務を消滅させるような事情変更には当たらない。
資産から生じる法定果実を収入として取り扱っていた場合
もともと資産から生じる法定果実を収入として取り扱い、養育費を定めていた場合は、その収入が大きく増減した場合は、養育費の金額を変更すべき事情の変更があったとして、養育費の増額・減額が認められる可能性があります。
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