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不貞行為(不倫、浮気)と養育費

  • 養育費

不貞行為と養育費

離婚した夫婦の間に経済的に自立できていない子(未成熟子)がいる場合には、その子の生活費のため、養育費が支払われることになります。

それでは、離婚の原因が、養育費を請求する側の親(権利者)の不貞行為(不倫、浮気)であった場合でも、養育費を支払う側の親(義務者)は養育費を支払わなければならないのでしょうか。

原則

養育費は、経済的に自立できていない子(未成熟子)の生活費のために支払われるものです。

そのため、養育費を請求する側の親(権利者)に離婚の原因がある場合であっても、養育費を支払う側の親(義務者)は、そのことを理由に養育費の支払を免れることができないのが原則であると考えられています。

なお、養育費の性質についての詳しい説明はこちらをご参照ください。

例外

ただし、具体的な事案によっては、養育費の請求が権利の濫用だと判断され、認められないことがあります。

裁判例

妻が、夫に対し、夫との間に法律上の親子関係はあるが、妻が婚姻中に夫以外の男性との間にもうけた子の養育費の請求をした事案において、裁判所は、

①妻が、出産後程なく当該子と夫との間に自然的血縁関係がないことを知ったのに、そのことを夫に告げなかったため、夫は、当該子との親子関係を否定する法的手段を失ったこと、

②夫は、婚姻中、相当に高額な生活費を妻に交付するなどして、当該子の養育・監護のための費用を十分に分担してきたこと、

③離婚後の当該子の監護費用を専ら妻において分担することができないような事情はうかがわれないこと

等を理由に、妻が夫に対して養育費の請求をすることは権利の濫用に当たると判断しました(最判平成23年3月18日・家月63巻9号58頁)。