会社経営者(社長)の夫をもつ妻の離婚について ~株式を財産分与する際の株式の評価方法(類似業種比準方式)~
- 会社経営者(社長)
会社経営者の夫が保有している自社株式の評価方法
夫が会社経営者である場合、特に夫が創業者である場合など、自社の株式を保有している場合が多いと思われます。
自社株式が婚姻後に夫婦の協力により形成された財産であった場合は、自社株式は夫婦共有財産として財産分与の対象となります。
しかしながら、多くの場合は、夫が保有する自社の株式が非公開株式(市場価格のない株式)であるため、財産分与を行う際に、自社の株式の価値をどのように見積もって財産分与を行うべきか、夫婦間で問題となりがちです。
このような場合、何らかの方法で、株式の価値(=会社の価値)を算出しなければなりません。
非公開株式の価値の算出の仕方には、いくつか方法がありますが、ここでは、類似業種比準方式を紹介します。
類似業種比準方式とは
類似業種比準方式とは、評価対象の対象となる株式と事業内容が類似している上場会社(証券取引所で株式会社が売買されている会社をいいます。)の株式の価額を参考にして、評価対象の非公開会社の1株あたりの評価額を算定する評価方法をいいます。
ただし、業種や規模が似ているからといって、対象となる非公開会社の株式の評価額を、類似する上場株式と全く同じとすることは適当ではありません。
非公開会社の株式の評価額は、一般的に上場株式よりも低いものと考えられるため、上場株式の時価を参考にしつつ、さまざまの要素を考慮して、一定の調整を行うこととなります。
類似業種比準方式による財産分与の例
例えば、夫が、発行済株式総数が100株である自社の株式を70株保有しており、その株式が全て夫婦共有財産である場合で、類似業種比準方式によると自社の株式の価値が1株あたり1万円の場合を考えます。
この場合、夫は、70万円に相当する自社の株式を保有していることになりますので、株式そのものではなく、株式に代わる代償金を受け取る方法により財産分与を行う場合は、妻としては、70万円の2分の1である35万円を金銭で受領すると、夫の保有する自社株式を公平に分与できることになります。
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