会社経営者の夫をもつ妻の離婚について ~株式を財産分与する際の株式の評価方法(配当還元方式)
- 会社経営者(社長)
会社経営者の夫が保有している自社株式の評価方法
夫が会社経営者、社長である場合、夫(及び妻)が経営している自社の株式を保有している場合も多いと思われます。
自社株式が婚姻後に夫婦の協力により形成された財産であった場合は、夫婦共有財産として、離婚の際に財産分与の対象となります。
しかしながら、多くの場合は、夫が保有する自社株式が非公開株式(市場価格のない株式)であるため、離婚時に財産分与を行う際に、自社の株式の価値をどのように見積もって財産を分けるべきか、夫婦間で問題となりがちです。
このような場合、何らかの方法で、株式の価値(=会社の価値)を算出しなければなりません。
非公開株式の価値の算出の仕方には、いくつか方法がありますが、ここでは、配当還元方式を紹介します。
配当還元方式とは
配当還元方式とは、将来期待される1株あたりの配当金の額を一定の資本還元率で権限して非公開会社の株価を求める方法です。
しかしながら、配当還元法による評価は、一般的にとても安い金額になりがちです。そのため、配当還元方式を用いて自社株式の価値を算出した場合、自社株式を保有していない(または他方配偶者よりも少ない数しか自社株式を保有していない)側は、財産分与の場面で不利益を受ける可能性が高いです。
配当還元方式による財産分与の例
例えば、夫が、発行済株式総数が60株である自社の株式を60株保有しており、その株式が全て夫婦共有財産である場合で、配当還元方式によると自社の株式の価値が1株あたり2万円の場合を考えます。
この場合、夫は、120万円に相当する自社の株式を保有していることになりますので、株式そのものではなく、株式に代わる代償金を受け取る方法により財産分与を行う場合は、妻としては、120万円の2分の1である60万円を金銭で受領すると、夫の保有する自社株式を公平に分与できることになります。
もっとも、上記のとおり、配当還元方式によると、株式の価値がとても安い金額になりがちです。
そのため、妻としては、自社株式の価値は、他の評価方法で算出することを検討すべきでしょう。
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