改正民事執行法を踏まえた財産開示手続 〜その1〜
- 債権回収
従前の民事執行法にも、債務者自身に財産を開示させる財産開示手続の制度がありましたが、その実効性は不十分なものでした。
令和元年の民事執行法改正(令和2年4月1日施行)では、債務者の財産について、債務者自身に開示させる既存の財産開示手続を強化するとともに、第三者に財産の情報を開示させる手続が新たに制定されました。
婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料等、離婚時に生じる金銭給付についても、今回の民事執行法改正を踏まえて、回収方法を検討することになります。
財産開示手続の見直し
申立権者の範囲の拡大
従前は、財産開示手続の申立権者の範囲は、金銭債権の債務名義のうち仮執行宣言付判決、支払督促、公正証書等では、財産開示手続の申立てを行うことができませんでした。
しかし、今回の改正によって、金銭債権であれば全ての種類の債務名義で申立てができるようになりました。
罰則の強化
従前の手続では、財産開示手続期日への不出頭、宣誓拒絶、不陳述、虚偽陳述に対して、30万円の過料(行政上の罰則)が科されるのみでした。
今回の改正では、財産開示手続期日への不出頭、宣誓拒絶、不陳述、虚偽陳述について、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(刑事罰)を科すことになりました。
参照条文
(陳述等拒絶の罪)
第213条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
⑸ 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓を拒んだ開示義務者
⑹ 第百九十九条第七項において準用する民事訴訟法第201条第1項の規定により財産開示期日において宣誓した開示義務者であって、正当な理由なく第199条第1項から第4項までの規定により陳述すべき事項について陳述をせず、又は虚偽の陳述をしたもの
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