改正民事執行法を踏まえた財産開示手続 その5 ~不動産に関する情報取得~
- 債権回収
婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料等、離婚時に生じる金銭給付について不履行がある場合、判決や調停調書などの債務名義があれば、強制執行手続きを行うことが可能です。
令和元年の民事執行法改正(令和2年4月1日施行)では、不動産に関する情報取得の制度が新設されました。
不動産に関する情報取得
申立権者
①執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者
②債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者
要件
①強制執行開始のための一般的要件を備えていること
②先に実施した強制執行の不奏功等
・配当の手続において完全な弁済を受けることができなかったとき
・知れたる財産に強制執行を実施しても完全な弁済を得られないことの疎明があったとき
③財産開示手続の前置
財産開示手続については、こちらをご参照ください。
申立て
第三者からの情報取得手続は、債権者の申立てにより行われます。
申立書には、申立人、債務者、情報提供を命じられるべき者の氏名、名称、住所や申立の理由を記載する必要があります。
また、債務者については、できる限り、その氏名または名称の振り仮名、生年月日、性別、その他債務者を特定するための事項を記載すべきとされています。
第三者とは
登記所
第三者が提供すべき情報
債務者が所有権の登記名義人である土地等の存否およびその土地等が存在するときはこれを特定するに足りる事項
執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当するときは、それぞれ当該各号に定める者の申立てにより、法務省令で定める登記所に対し、債務者が所有権の登記名義人である土地又は建物その他これらに準ずるものとして法務省令で定めるものに対する強制執行又は担保権の実行の申立てをするのに必要となる事項として最高裁判所規則で定めるものについて情報の提供をすべき旨を命じなければならない。ただし、第1号に掲げる場合において、同号に規定する執行力のある債務名義の正本に基づく強制執行を開始することができないときは、この限りでない。
① 第197条第1項各号のいずれかに該当する場合
執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者② 第197条第2項各号のいずれかに該当する場合
債務者の財産について一般の先取特権を有することを証する文書を提出した債権者2 前項の申立ては、財産開示期日における手続が実施された場合(当該財産開示期日に係る財産開示手続において第200条第1項の許可がされたときを除く。)において、当該財産開示期日から3年以内に限り、することができる。
3 第1項の申立てを認容する決定がされたときは、当該決定(同項第2号に掲げる場合にあっては、当該決定及び同号に規定する文書の写し)を債務者に送達しなければならない。
4 第1項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第1項の申立てを認容する決定は、確定しなければその効力を生じない。
民事執行法第205条 (債務者の不動産に係る情報の取得)
- 2021.02.15
改正民事執行法を踏まえた財産開示手続 その4 ~給与債権に関する情報取得~ - 2021.02.08
改正民事執行法を踏まえた財産開示手続 その3 ~預貯金債権、振替社債等に関する情報取得~ - 2021.02.01
改正民事執行法を踏まえた財産開示手続 その2 ~第三者からの情報取得手続き~