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離婚の国際裁判管轄

  • 国際離婚
当事者が外国籍の場合、日本の裁判所に離婚を求めるためには、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められる必要があります。

人事訴訟法3条の2

人事訴訟法3条の2は、人事訴訟に関する日本の裁判管轄について、次のように規定しています。

(人事に関する訴えの管轄権)
第三条の二 人事に関する訴えは、次の各号のいずれかに該当するときは、日本の裁判所に提起することができる。

一 身分関係の当事者の一方に対する訴えであって、当該当事者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二 身分関係の当事者の双方に対する訴えであって、その一方又は双方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

四 身分関係の当事者の双方が死亡し、その一方又は双方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

五 身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき(その一方又は双方がその死亡の時に日本の国籍を有していたときを含む。)。

六 日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、当該身分関係の当事者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

七 日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた当該訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。

そのため、以下のような場合に、日本における国際裁判管轄が認められます。

人事訴訟法3条の2第1号

人事訴訟法3条の2第1号は、被告となる配偶者の住所(住所がない場合または住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるときには、日本における国際裁判管轄を認めています。

人事訴訟法3条の2第6号

人事訴訟法3条の2第6号は、日本国内に住所がある者からの訴えの場合に、被告となる配偶者との最後の共通の住所が日本国内にあった場合の、日本における国際裁判管轄を認めています。

例えば、日本に居住する日本国籍を有する夫Aが、韓国に居住する韓国籍の妻Bに対して離婚訴訟を提起する場合、夫Aと妻Bとの別居直前の住所が日本国内にあった場合は、日本国に国際裁判管轄が認められることになります。

人事訴訟法3条の2第7号

人事訴訟法3条の2第7号は、日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた当該訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるときに、日本における国際裁判管轄を認めています。

例えば、日本に居住する日本国籍の妻Bが、外国籍を有する夫Bに対して離婚訴訟を提起する場合、夫Bが行方不明であるときは、日本国に国際裁判管轄が認められることになります。

また、夫Bの住所がある国で離婚訴訟を提起し、離婚判決を得たとしても、その離婚判決の効力が日本国では生じないような場合は、日本国に国際裁判管轄が認められることになります。

人事訴訟法3条の2各号に明確に該当しない場合

日本の裁判所に離婚訴訟を提起するためには、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められる必要がありますが、上記のとおり、人事訴訟法3条の2第7号は、「その他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき」についても日本国に国際裁判管轄を認めています。

そのため、日本の裁判所にて離婚訴訟を提起したい場合で、同条各号に明確に当てはまらないときは、「特別の事情」があるか否かを検討すべきでしょう。