学資保険の財産分与① ~学資保険の評価方法について~
- 財産分与
子どもの教育資金を準備するために、学資保険に加入しているご家庭も多いと思われます。
学資保険は貯蓄性の保険であるため、一方当事者の特有財産から支払われていたなどの事情がない限り、財産分与の対象となりうる財産です。
本コラムでは、学資保険の評価方法について解説いたします。
保険内容の把握
学資保険の保険内容については、契約締結時に交付される保険内容通知書の記載を参考にします。通知書を紛失してしまった場合でも、契約者であれば、保険会社から再発行を受けることが可能です。
また、配偶者が学資保険に加入しているか自体がわからない場合、預金口座からの保険料の引き落としがないかを確認する他、源泉徴収票や確定申告書の生命保険控除欄を確認することによって保険契約の存在を把握できることもあります。
ただし、いずれの方法も保険内容までは確認できませんので、配偶者に保険料の支払いがある場合、相手方から保険内容を開示してもらう必要があります。
資産価値の評価方法
学資保険は、解約すると解約返戻金を受け取ることができます。そのため、学資保険の資産価値は、保険会社が作成する、財産分与の基準時(離婚時もしくは別居時)における解約返戻金証明書によって評価することができます。
解約返戻金証明書の発行を保険会社に対して請求できるのは、原則として保険契約者本人に限られますので、契約者が相手方の場合、相手方に解約返戻金証明書の取得を依頼することになります。
裁判例
被告が、被告を契約者とする郵便局の学資保険に加入しており、平成15年4月25日の時点において同保険の解約返戻金が合計610万6286円であることが認められるところ、〈1〉被告の給与収入が上記保険の支払いに充てられているが、その陰で原告が育児・家事に専念して被告の仕事を支えてきており、上記資産形成に原告の相当の協力があったことが認められること、〈2〉原、被告間の長男、二男及び四男の学資に当てるために積み立てられたものであること、〈3〉後記のとおり、上記3子の親権者についてはいずれも原告と指定するのが相当であることに照らせば、被告は離婚に伴う財産分与として原告に金500万円を給付するのが相当である。
東京地裁平成15年8月27日判決