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株式の財産分与 〜株式の財産分与の裁判例〜

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株式の財産分与

夫婦が共同生活の中で形成してきた財産の中に株式が含まれる場合、当該株式もまた夫婦の離婚に際して財産分与の対象となります。

株式の財産分与に関しては、次のような裁判例があります。

株式を財産分与の対象とすべきか否かが争いになった裁判例

平成9年6月24日東京地方裁判所判決、判タ962号224頁

妻が、株式については、妻が自らの収入で銘柄を選択して投資してきたものであるから、夫の貢献は全くなく、財産分与の算定から除外すべきであると主張した事案で、裁判所は、妻は、株式については自らの収入により、自らが銘柄を選択して投資したものであるから、夫婦財産として評価すべきでないと主張しているが、仮に妻が主張するような事実があったとしても、株式のみを除外する理由にはならないと判断しました。

平成14年10月18日東京地方裁判所判決

妻が夫に内緒で株式投資を行っており、その原資が争いとなった事案で、裁判所は、妻が行っている株式取引の原資は、妻の両親から贈与された金員であると認定した上、そうであれば当該株式は妻の特有財産と認められるから、夫の財産分与請求には理由がないと判断しました。

株式の代償金支払による取得が認められるかが争いになった裁判例

平成28年3月30日東京家庭裁判所審判、判例時報2372号21頁

夫と妻がAの株式をそれぞれ同数保有していたところ、妻が夫名義のAの株式の取得を希望していた事案で、裁判所は、同株式については妻からの資料の提出がないために適正な評価額を定めることが困難であり、妻の行為により適正な代償金を算定できないにもかかわらず、妻に同株式を取得させることは、公正の観点から相当ではない上、そもそも適正な代償金額も算定できないことや、妻と夫がそれぞれ同数保有していることから、同株式については、それぞれの名義のままとするのが相当であると判断しました。

有価証券の財産分与の割合が争いになった裁判例

平成26年10月東京高等裁判所判決

妻が自身の特有財産(約200万円)と婚姻期間中に得られた資金(約600万円)によって得た有価証券を運用して4年間で約2500万円まで増やした事案で、財産のうち共有財産と考えられる部分については、株式の運用によって利益をあげたこと自体が妻の特殊な能力等によるものとまで評価することは困難であって、その財産形成に対する寄与の度合いについて、おおむね2分の1ずつとするのが相当であると判断しました。

株価が争いになった裁判例

平成16年6月18日広島高等裁判所岡山支部判決、判時1902号61頁

株価が非常に大きく変動していた事案で、裁判所は、株価が日々大きく変動するものであって、資産としての確実性を有しないことなどを考慮した上で、双方の主張する株価の評価時点の平均値をもって評価額とするのが相当であると判断しました。

平成27年7月家庭裁判所審判

夫が婚姻期間中に共有財産から設立資金を出して設立した非上場会社の株式の評価額が問題となった事案で、裁判所は、基準時から直近までの会社の決算報告書記載の純資産額を発行済株式総数で割った株式の評価額がいずれも0円と評価され、決算報告書上も純資産がマイナスと評価されていることから、同株式の評価額は0円であると判断しました。