不動産の財産分与⑦ ~自宅の名義人が自宅を売却せずにそのまま住み続ける場合の住宅ローンの処理について~
- 不動産
婚姻期間中に夫婦が取得した不動産は、その名義が夫または妻のいずれであるかにかかわらず、夫婦共有財産であり、財産分与との対象となります。
本コラムでは、財産分与にあたり、自宅の名義人が自宅を売却せずにそのまま住み続ける場合の住宅ローンの処理について解説いたします。
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住宅ローン残高の確認
自宅を、夫婦のいずれかが離婚後も所有したまま財産分与するにあたって、住宅ローン残高を把握する必要があります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
夫婦共有財産から住宅ローンを完済する場合
夫婦共有財産から住宅ローンを完済する場合、自宅を取得する当事者が、自宅を取得しない他方当事者に対し、代償金を支払う、自宅以外の財産を取得させる等の方法により、財産分与を行うことになります。
アンダーローンの場合
住宅ローンの残高が自宅の評価額を下回るアンダーローンの場合、自宅の評価額から住宅ローンの残元金を控除した金額を自宅の現在価値と評価して、各自の分与割合に基づいて分与額を決めることになります。
オーバーローンの場合
住宅ローンの残高が自宅の評価額を上回るオーバーローンの場合、原則、債務は財産分与の対象とならないと考えられています。
ただし、自宅の他に夫婦共有財産がある場合は、自宅の評価額と住宅ローンの残元金の差額について、他の夫婦共有財産で調整することが一般的です。
他方配偶者が連帯債務者・連帯保証人になっている場合
自宅の名義人が自宅を売却せずにそのまま住み続けるとしても、他方配偶者が連帯債務者や連帯保証人となっている場合、他方配偶者から、連帯債務者・連帯保証人の地位を外してほしいと求められることが多いです。
このような場合、主債務者において、新たな連帯債務者・連帯保証人を用意する、住宅ローンの借り換えを行うなどが考えられます。