不動産の財産分与⑩ ~自宅を夫か妻のいずれかの単独名義にする場合において住宅ローンが残っていない場合の検討事項について~
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婚姻期間中に夫婦が取得した不動産は、その名義が夫または妻のいずれであるかにかかわらず、夫婦共有財産であり、財産分与との対象となります。
本コラムでは、財産分与にあたり、自宅を夫か妻のいずれかの単独名義にする場合において、住宅ローンが残っていない場合の検討事項について解説いたします。
処理の方法
住宅ローンが組まれていない、または既に住宅ローンを完済した自宅を、夫か妻のいずれかが単独取得する場合、引き続き居住する当事者が取得して、以下の処理を行うことが多いです
- 他方当事者に代償金を支払う
- 他の分与対象財産を取得させる
この場合、代償金の額等は、基本的には対象不動産の評価額に分与割合を乗じた額と当該住宅の評価額の差となります。
登記手続・代償金の支払・引渡し
自宅の名義を変更する場合、自宅を売却するときと同様に、司法書士が登記手続きを行うことが多いです。
登記手続に必要な書類の確認を行い、代償金の支払、あるいは自宅以外の夫婦共有財産の引渡し・支払と引き換えに自宅を引渡します。
自宅不動産の名義人とならなかった者が居住する場合の注意点
引き続き居住するものが、代償金を支払う能力がなかったり、自宅以外に財産分与の対象となる財産を持ち合わせていないような場合、他方当事者に自宅を取得させる処理を取ることがあります。
そのような場合、自宅の居住者は、引き続き居住することができるように、自宅の取得者との間で賃貸借契約または使用貸借契約を締結し、自宅建物の利用権を設定することとなります。