夫または妻にDVがあった場合の面会交流
- 面会交流
では、DV加害者側の親から面会交流を求められたとき、どのようなことに注意しなければならないのでしょうか。
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DVを理由に面会交流を拒否できるか
そもそも、DVを理由に面会交流を拒否することはできるのでしょうか。
面会交流は、子どもの最善の利益を実現するための制度であり、裁判所としても原則として実施すべきとの方針です。
ですから、面会交流を制限・拒否するには、面会交流の実施が子どもの利益にならないことを具体的に主張立証しなければなりません。
この点、監護親が非監護親からDVを受けていたとしても、親と子どもは別人格ですので、DVが子どもに悪い影響を与えていると認められなければ、面会交流を制限・拒否することは難しいと考えられています。
DVが原因で面会交流を拒否できる場合
しかし、面会交流を行うことが子どもの利益にならないと判断される場合には、DVを理由として面会交流を制限・拒否できる場合もあります。
子どもが虐待を受けている場合
子ども自身が虐待を受けている場合
子ども自身が直接的な虐待を受けており、面会交流を実施した場合、面会交流中に子どもが非監護親から虐待を受けるおそれがあるのであれば、面会交流を制限すべきでしょう。
子どもが監護親に対するDVを目撃している場合
子ども自身が直接的な虐待を受けていない場合であっても、子どもにDVを目撃させること自体が虐待になると考えられております。
なお、児童虐待防止法2条4号においても、「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」を心理的虐待の一つと定義されています。
もっとも、このような場合であっても、面会交流を制限すべきか否かは、DVを目撃したことによる子どもへの影響を考慮したうえで判断することになります。
具体的には、子どもの年齢、発達段階、心身の状況、子どもが面会を希望しているのか等の事情を検討したうえで、面会交流を制限すべきか否かについて、判断することになります。
子どもがDV加害親と会うことを拒否している場合
子どもがある程度の年齢(およそ10歳程度)に達していると、面会交流に対する子どもの意思は尊重されます。
子どもが明確に会うことを拒否する意思を示した場合、面会交流を実施することは難しいでしょう。
面会交流の負担を減らすために
DV加害側の親との面会交流を実施することになったものの、DV加害者と接触したくない場合は、第三者機関の援助を受けることを検討するとよいでしょう。
代表的な機関として公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)が挙げられます。
第三者機関を利用することにより、面会交流の付き添いや子どもの受渡しを支援してもらえます。
また、面会交流の方法は非監護親と子どもが直接会う方法に制限されているわけではありません。
手紙の交換や子どもの写真を送付する等の間接的面会交流からはじめてみることも検討するとよいでしょう。
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